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製造業のマーケティングはQCD+Sで考えよう!

執筆者の写真: Takuma SaitoTakuma Saito

更新日:2月18日




前回の記事では「製造業におけるマーケティングの課題」について解説しました。


顧客もまた自社と同じくBtoB製造業であることが多く、マーケティングで成果を上げるためには、業界特有の課題感や商習慣について把握する必要がある点を挙げました。


本記事では、BtoB製造業が実際のマーケティング業務を推進する上で押さえておきたい「製造業ならではのマーケティングの考え方」について、引き続きMonointive株式会社の斉藤拓真が解説していきます。


BtoB製造業の顧客企業はQCD+Sで仕事をしている!

近年、BtoB製造業もコロナ禍を契機に、マーケティング部署を立ち上げて少しずつマーケティングの取り組みを始めようとする企業が増えてきています。「とりあえずやってみよう」と、展示会・Web広告・ウェビナーなどに取り組む段階から、次のフェーズに進むためにはどんなことが必要でしょうか?

まず、BtoB製造業がターゲットにしている顧客企業の多くが、「QCDを念頭に仕事をしている」という点を押さえる必要があります。


QCDとは、Quality (品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字をとったもので、製造業の現場では欠かせない要素になります。近年ではこれに加え Safety (職場の安全性)を確保するために設備を導入するケースもあり、SQCDと言われることもあります。


もともとQCDは製造業の現場で使われている言葉ですが、それ以外に、BtoB製造業の顧客の事業活動をとらえる上でも適用できると考えています。


  • 「いいモノ・サービス(品質)」を

  • 「安く(コスト)」、

  • 「早く または 大量に(納期)」、

  • 「けがや事故が起きないように(職場の安全性)」


BtoB製造業の顧客企業の多くが、製品の製造・サービス提供を実現するために、素材・部品・設備などの「モノ」を購入したり、システムやSaaSなどの「サービス」を導入したりしていると言えます。

従って、製造業におけるマーケティングを考える上ではQCD+Sを起点に検討する必要があると言えますし、ターゲティング施策やコンテンツを検討する上で整理がしやすくなります。


このように、QCD+Sという製造業の基本を押さえたマーケティング活動を行うことが非常に重要です。


製品/サービスの機能・性能の訴求ではマーケティング活動はうまくいかない

「イノベーションのジレンマ」という言葉に代表されるように、あらゆる技術領域での技術の成熟化に伴い、「売り方のジレンマ」が営業現場で起きつつあります。

こうした問題点をマーケティングで解決することはできるのでしょうか?


民生品はもとより、BtoB商材でも「従来機比較 2倍の速さで!」「シリーズ過去最大の高感度・高精細!」などのスペックや機能を軸にした訴求メッセージをよく目にします。

これはプロダクトアウトの最たる例で、あくまでも既存顧客を対象にした価値訴求にすぎません。


これらのメッセージは旧製品との相対比較を前提にした表現であることから、自社製品・サービスを知らない新規顧客の興味・関心を集めることはできません。

言い換えると、将来的な見込み顧客を獲得する目的であるマーケティング活動においては、その製品自体の優位性をいくら訴求しても、ニーズを顕在化させることはかなり難易度が高いということになります。


前項でもお伝えしたとおり、BtoB製造業の顧客は自身が直面する業務課題を解決するために「モノ」や「サービス」を購入・導入します。従って、マーケティングにおいては「業務課題の解決」の視点で各施策を検討する必要があります。


製造業のマーケティングは「コト起点でモノを売る」を目指そう


ここまで製造業のマーケティングにおける重要な考え方を解説しました。

では、各施策の立案・実行の際には具体的にどのように進めるのが良いでしょうか。


「モノを売る」ことが最終目的である製造業の企業にとっては遠回りに聞こえるかもしれませんが、顧客企業が関心を持つ情報を発信することで集客に結びつけることがとても重要です。


ここでセミナーの企画を例にとって考えてみます。

ある製品を題材にしたテーマを検討した場合、どちらの方がより潜在的なニーズを持った見込み顧客の集客が期待できるでしょうか?


【製品題材】量産ラインで用いられる自動外観検査装置の場合

前者は新製品紹介の色が強いのに比べ、後者では外観検査システムのベンダーの知見を生かして、量産現場の外観検査を自動化するにあたって必要なノウハウを解説することを主眼に置かれています。

こうしたテーマのセミナーの後、「外観検査 技術相談会」を案内し、フォロー導線を確保することで徐々に自社製品のニーズにつなげることができます。


これがまさにナーチャリングと呼ばれる、ニーズを徐々に高める活動であり、BtoBマーケティングの真骨頂の取り組みだといえます。


このように「顧客担当者の関心ごと」をきっかけに集客し、商談につなげる典型的なフローを、我々は「コト起点でモノを売る」と表現しています。

弊社がBtoB製造業をご支援する際には、製造業におけるマーケティングでこの考え方をとても重要視しています。


マーケティングコンテンツを検討する際に取り入れたいフレームワーク


製造業に限った話ではないですが、ターゲットに合わせたコンテンツや施策の企画を継続的に行うことがとても難しいと言われています。

いわゆる「ネタ切れ」を防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?


いくら優秀なマーケターでもアイディアだけではコンテンツや企画がマンネリ化してしまい、やがて「ネタ切れ」になってしまいます。


ここで、ホワイトペーパーやブログなどの各コンテンツ、ウェビナー、展示会などの各施策検討に汎用的に活用できるフレームワークをご紹介します。



このワークシートでは検討フェーズ×ターゲットのレイヤーに応じて、どういったテーマに関心ごとがあるかをプロットすることで施策検討に活用することができるようになっています。


ワークシートの見方として、左上は「潜在層かつ経営レベルのテーマ」、右下に行くほど「顕在層かつ現場レベルのテーマ」になります。

今回は製造業で一般的に求められる内容を大項目として記載しておりますが、実際には自社のプロダクト・サービスにあった内容を記載していきます。


本フレームワークによって施策のターゲットやテーマについて、俯瞰的・客観的に整理することが可能です。


書き込み用は下記からダウンロード可能です。


まとめと次回予告


今回はBtoB製造業でのマーケティング企画立案・施策実行段階で生じる課題や、施策・コンテンツを検討する上で考慮すべき点などについて解説いたしました。


次回は今回の記事でご紹介した、コンテンツ検討のフレームワークを用いながら、「顧客の検討軸」について商材ごとの事例を交えつつ詳細に解説いたします。

 
 
 

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